スノーボードのエッジには角度が付いています。一般的には90度です。 みなさん、買ったままの状態で滑っていませんか?スノーボードはエッジの角度で滑りが激変します。大切なエッジの角度についてご紹介したいと思います。
スノーボードの構造
エッジ角度のお話の前に、簡単にですがスノーボードの構造についてご説明します。
スノーボードを構成するパーツはおおまかに分けて
1.トップシート
2.芯材(コア)
3.ソール材
4.サイドウォール(サンドイッチ構造の場合)
5.エッジ
の5つから構成され、接着剤で貼り合わされています。さらに、製法として以下の2つに分類されます。
昔からある構造で、ボードの特製を調整しやすく、少量生産向きと言われています。価格が高めの板はだいたいこの構造ですね。
トップシートでエッジまでを包み込むような形で作られる板です。部品点数が少なく軽量で、大量生産向きです。エントリーモデルなどに多い構造です。
キャップがいいか、サンドイッチかはメンテナンスにおいてはあまり関係無いのでここでは触れないでおきます。
ベースエッジとサイドエッジ
さて本題のエッジ角度ですが、拡大図で表すと下図のようになります。冒頭でも触れましたが、一般的にはこの角度(90度)のまま、何も手を加えずに売られています。ソール側を「ベースエッジ」、横側を「サイドエッジ」と呼びます。
「~のまま、何も手を加えずに売られて…」と書いたのは、そのままの状態ですといろいろと不都合があるからです。
でもご紹介したように、不要な部分もエッジが立った(鋭い)状態です。ショップで売られている物は「素材」の状態だと思ってください。ここから自分好みにアレンジしてください、ということですね。
では、具体的にどんな不都合があるかと言いますと、ダリングの項でも説明しました「板をフラットにした状態」で起こります。
エッジの角度が90度なので、常に雪面にエッジが掛っている(接している)状態で滑ることになります。これがわずかな雪面の荒れでも板が引っ掛かる原因で、この状態を車の運転に例えると、ハンドルの遊びが全く無い状態で運転しているようなものです。
少しでもハンドルを動かせば車が反応してしまうので、常に緊張して運転しなければならない、そんな状態です。
(下図赤○部分が常に雪面と接している部分です。)
常にどちらかのエッジに乗るような滑りをしていればあまり問題にはなりませんが、初心者の頃はこれがなかなか難しいんです。転倒しては立ちあがり、滑り出したなと思ったらエッジが引っ掛かって転倒…。
特に林道コースなどでは斜度が緩く、コース幅も狭いので板をフラットにするしかない場面があります。私も初心者の頃は原因も分からずよく転倒していました。しかし、ボードの上で棒立ちのままスイスイ滑って行く人もいる…。
「これは絶対に技術の問題ではない!」
何度も転倒しては立ち上がりまた転倒…。疲れるし、なにより悔しくて私がエッジチューニングに手を出した原因でもあります。
これを改善するにはベースエッジの角度を変更し、雪面からエッジを離し「遊び」を作るというチューニング方法があります。これを「ベースエッジビべリング」と言います。
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ベースエッジを何度にするか?
一般的には滑り方やスタイルに合わせ、0度から2度の間で調節する、と言われています。角度が大きくなるほど、遊びが大きく、板も回しやすくなります。初心者やトリック系の人は2度がいいという意見もあります。
私の結論は、
「初心者でも1度で十分」
です。
「たった1度?」思うかも知れませんが、私の経験からすると「激変」します。
超初心者を含む数人の板をベースエッジ1度、サイドエッジ1度で仕上げたことがありますが、皆
「もっと早くやればよかった!」
「直滑降が超気持ちいい~」
と言ってご機嫌です。フリーランメインでそこそこ乗れる人なら0.5度でもよいかも知れません。ただし、あくまでもキャンバーボードの場合です。ロッカーボードやオガサカなどのスノボードに採用されている「コンベックスソール」これには当てはまりませんので注意してください。
コンベックスソールとは?
スノーボードを正面から見て、ソールが船底のような形状となっているソールです。エッジの角度は90度でもソールが反っているのでボードをフラットにした場合でも雪面に引っ掛かりにくい形状で、ボードをズラす際の旋回性が高いとされています。現在、私のメインボードはオガサカのFC(コンベックスソール)で、ベースエッジに角度を入れる必要性は感じませんのでそのままで乗っています。いいことばかりのようなコンベックスソールですが弱点もありまして、ボードをフラットにした際の安定感はフラットなソールのボードよりは劣ります。チョロチョロとボードが落ち着かない感じです。
サイドエッジの角度について
ベースエッジを1度削ってしまうとトータルのエッジ角度が91度となってしまうので、サイドエッジも1度削り、90度に戻す必要があります。あくまでも「トータルのエッジ角度は90度」これが基本です。
サイドエッジを89度や88度などの鋭角にすると、エッジグリップが上がると言われています。刃物のように鋭く、トータルの角度を89、88、87…としていくわけですね。(下図はトータル88度の場合です。)
【ベースエッジ1度、サイドエッジ3度:トータル88度の場合】
いかにも「切れそう」ですよね。
私も同じ板で90度から88度までサイドエッジ角度を変更してみたことがありますが、私の腕ではベースエッジを1度変更した時のような変化は感じませんでした。
もっと上手い人ならエッジグリップの変化を感じられるかも知れません。私はまだそのレベルではない、ということですね。
ベースエッジ角度変更のデメリット
ベースエッジの角度を変更してしまうと2度と元には戻せないと思っておいてください。削ったベースエッジを元に戻す場合、ソールとエッジをかなり削る必要があります。(1度を元に戻したいという人はあまりいないと思いますが…。)
正直、素人の手作業では手に負えませんのでプロのチューニングショップなどでソールを削ってもらう必要がありますが、ソールの厚みは2mmほどしかありませんので下手をするとソールの厚みが半分ぐらになります。
こうなるとワックスの吸収性にも影響しますので、いきなり2度とかはやめて、0.5度または1度から始め、少しずつ調整してくさい。
また、若干ですが「エッジが遠くなる」感じがします。反応を緩めるために遊びを作ったので仕方がないのですが、「俺はカービングしかやらねーぜ!」なんていう人なら0度のままでいいかも知れませんね。
私的におすすめは、
・初心者:ベース1度、サイド89度(トータル90度)
・初心者~中級者:ベース0.5度、サイド89、又は88度(トータル90度または89度)
となります。ただ、お店に出す場合ベース0.5度はおそらく機械加工はできず手作業になります。0.5度を指定できるお店を探す必要があるかも知れません。
皆様にも是非、ベースエッジビべリングの威力を体感していただければと思います。
次は、実際のエッジ加工前の下準備をご紹介したと思います。
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