バインディングの調整に「センタリング」と呼ばれるものがあります。スタンスの前後では無く、ボードの進行方法に対して左右の位置調整です。
センタリングってどの方向?
自分から見るとフロントサイド、バックサイド方向なので「前後」となってしまってややこしいですが…。実際の方向は下図の通りです。
ボードの中心にバインディングのセンター(足裏のセンター)が来るように、位置をずらして調整するのがセンタリングです。調整にはバインディングのセンターディスクの穴位置をずらすか、ヒールカップを調整(可能な製品は)することで行います。
目標としては、フロントサイド、バックサイドから出ているブーツの寸法が同じになるように調整します(図中「a」で示す部分)。
ただし、ディスクの穴で調整する場合は1穴で約1cmなので、調整範囲は広くありませんし、微調整も難しいです。(長穴のディスクなら微調整可能ですが、最近あるんですかね?)
私は、普通の足サイズ(27cm前後)なら、正直センタリングはそんなにずれないのでは?と考えています。問題になるのは足のサイズが大きい(ブーツのサイズが大きい)人ですね。28cmを超えると危険ゾーンです。
ブーツが大きいとどうしてもつま先側がボードからはみ出します。これはフロントサイドターン時に「ドラグ」したりしてよくありませんので、調整が必要です。
ドラグとは?
ターン時に雪面とブーツが接触することをドラグと言います。ターン中はボード(エッジ)が雪面に刺さっていることでグリップがあるわけですが、、ブーツがボードからはみ出していると雪面とブーツが接触し、エッジが抜ける危険な状態となります。「ブーツが引っ掛かる」と言ったりします。
センタリングの調整方法
ヒールカップが調整できるバインディングの場合、最初はここで調整してください。ただし、ヒールカップを下げると、ストラップも再調整が必要となりますのでご注意を。
ヒールカップの調整範囲でも足らない、または調整できない場合は下画像のようにセンターディスクの穴位置をバックサイド側へずらして調整します。
最初にも書きましたが、それほど調整範囲は広くないので1穴ずらしてもつま先、踵の寸法を同じにできない場合は妥協するしかありません。
1.バインディングのアングルを大きめにしてかわす
角度を前向きにしてはみ出す量を抑えます。ただし、前足はいいですが後足を27度とかにはできないので限界はあります。
2.スタンスを広げて、ボードが広い位置にバインディングを取り付ける
スタンスを広げると、ボードの幅が広くなるのではみ出す量が緩和されます。これも限界はありますね。
3.ブーツのアウターが小さいモデルを選ぶ
メーカーによってブーツのアウターサイズは様々です。同じサイズでもメーカーによってはアウターのサイズが全然違うので、小さめのブーツを選びましょう。個人的にはバートンのブーツはアウターサイズがかなり小さいと思います。
4.幅広のボードに乗り換える
これは最後の手段です。モデルによってはサイドカーブの緩い「幅広モデル」が存在します。サイドカーブが緩いので小回りは効きませんが、ドラグするよりはマシです。
5.バインディングの下に「ゲタ」を履かせる
今はあまり見かけませんが、昔はバートンの「エレベーター」や、パーマーの「パワーリンク」というバインディングとボードの間に挟んでリフトアップする部品が売っていました。実は私も昔に使用していたブーツのアウターが大きく、ドラグに悩んでいたのでバートンのエレベーターを買って使用してみたことがあります。
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取り付けるとこんな感じです。約1cmのリフトアップですね。確かにドラグは改善されましたが、
・見た目が非常に悪い
・結構重い
という理由で使わなくなりました。私的にはあまりお勧めできなアイテムです。やっぱり、スノーボードはシンプルな構成が良いと思います。
その後、ブーツもかなりへたってきたので新しいブーツとバインディングを購入し現在使用しています。ドラグもセンタリングも気にせず使用でき快適です。
フロントサイドが苦手だからフロントサイド寄り、バックサイドが苦手だからバックサイド寄りにバインディングを動かすのはお勧めしません。
確かに改善はされるかもしれませんが、はっきり言って邪道です。根本的な解決になっていないので、苦手は練習で克服するほうがよいと思います。
ハイバックのローテーション
バインディングの調整に「ハイバックのローテーション」というものがあります。ハイバックの調整範囲を使用し、できるだけエッジとハイバックが平行になるようにを調整する、という物です。昔はこれが定番だったようですが、現在はブーツに対してぴったり合わせるというほうが主流のようですね。
【ローテーション無し】
これはローテーション無しの場合です。ハイバックの調整穴は両側ともに真ん中で合わせます。
ローテーション有り場合は、ハイバックの調整穴を使ってエッジとハイバックが並行に近付くように合わせます。画像は左側ですので、右側は反対方向に動かすことで平行に近付きます。
正直に言うと、ローテーションはあまり意味がないかも知れません。画像はバインディングのアングルが21度です。ハイバックの調整範囲を全て使っても完全に平行にはなりませんので。力学的に考えてもそれほど影響が大きいとも思えませんので、調整はお好みでいいと思います。
私は…ローテーションを行う派です(笑)。昔の名残りで…。
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